「奪われた正義の代わりに慈善を施しても、それは代替にはならない」

アウグスティヌス(画像はイメージです)
アウグスティヌス(画像はイメージです)
  • 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
  • ローマ帝国(現アルジェリア)出身
  • 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父

英文

”Charity is no substitute for justice withheld.”

日本語訳

「奪われた正義の代わりに慈善を施しても、それは代替にはならない」

解説

この言葉は、正義と慈善の本質的な違いを強調するものである。慈善(チャリティ)とは、困っている人への善意による施しであり、それ自体は尊い行為である。しかし、アウグスティヌスはここで、本来あるべき正義が果たされていない状態での慈善は、根本的な問題の解決にならないことを指摘する。正義は制度的・道徳的に義務であり、慈善は任意の行為にすぎない。

この思想は、社会的・政治的文脈において重要な意味を持つ。たとえば、労働者の権利が正当に守られていない状況で、企業が慈善活動を行っても、それは単なる取り繕いにすぎないという批判につながる。まず果たすべきは構造的な正義であり、その上に慈善があるべきという序列が示されている。

現代社会でも、貧困や不平等に対して一時的な支援だけで満足してはならず、根本的な制度改革や正義の実現が必要であるという声は強い。アウグスティヌスのこの名言は、正義を欠いた慈善は自己満足に過ぎないという厳しい真理を私たちに突きつけている。

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