「美は確かに神の良き賜物である。しかし、善き者がそれを偉大な善と誤解しないように、神はそれを悪しき者にも与える」

アウグスティヌス(画像はイメージです)
アウグスティヌス(画像はイメージです)
  • 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
  • ローマ帝国(現アルジェリア)出身
  • 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父

英文

”Beauty is indeed a good gift of God; but that the good may not think it a great good, God dispenses it even to the wicked.”

日本語訳

「美は確かに神の良き賜物である。しかし、善き者がそれを偉大な善と誤解しないように、神はそれを悪しき者にも与える」

解説

この言葉は、美の価値と限界についての神学的視点を示している。アウグスティヌスは、美を神からの賜物として肯定しながらも、それが永遠の善や徳に比べて劣る価値であることを強調する。すなわち、美は良きものであるが、それに過度な価値を見出すと、本質的な善から逸れてしまう危険があるという警告である。

神が美を悪しき者にも与えるという点は、この世的な美が道徳や信仰の尺度とは無関係であることを示している。美貌や芸術的才能は、徳によってではなく、神の配分によって与えられるゆえ、それらを持つこと自体は人間の価値や善悪を定めるものではない。これは、見かけに惑わされず、魂の内なる善を追求すべきであるという倫理観につながる。

現代においても、美に対する過剰な価値づけは、外見や流行に偏った評価基準を生み出す原因となっている。この名言は、美が善の象徴ではないことを思い出させ、より深い道徳的・霊的価値への志向を促す力強いメッセージである。

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