アウグスティヌス

アウグスティヌス(画像はイメージです)
アウグスティヌス(画像はイメージです)
  • 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
  • ローマ帝国(現アルジェリア)出身
  • 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父

人物像と評価

聖アウグスティヌス(St. Augustine)は、古代キリスト教最大の教父の一人であり、西洋思想と神学に決定的な影響を与えた哲学者・司教である

北アフリカ出身で、若年期にはマニ教や懐疑主義に傾倒したが、やがてキリスト教に回心し、洗礼を受けた。のちにヒッポの司教となり、多くの著作を残した。

最大の功績は、『告白』と『神の国』に代表される個人の内面の探求と歴史観の神学的再構築である。

前者では罪と恩寵の経験を通じた内的成長を描き、後者では世俗国家と神の国との対比によって歴史の意味を神学的に位置づけた

彼の思想は、原罪論・恩寵論・予定説など、カトリックやプロテスタントに多大な影響を与えた。

批評としては、その厳格な人間観と性に対する否定的傾向が、後のキリスト教倫理に過度の禁欲主義をもたらしたとの指摘もある。

一方で、神との内的対話の深さと哲学的探求の誠実さは、信仰と理性の融合という点で高く評価されている。

彼は中世キリスト教思想の礎を築いた存在である。

名言

  1. 「私たちが善い生活を送るなら、時代もまた善いものとなる。私たちがどうあるかによって、時代もそのようになる」
  2. 「あなたが満ちているもので自らを空にしなければ、あなたが欠けているもので満たされることはない」
  3. 「悪い交わりは杭に打ち込まれた釘のようなものである。最初の一打ち、二打ちなら容易に抜くことができるが、一度頭まで深く打ち込まれてしまえば、もはやペンチではつかめず、木を壊すことでしか抜くことはできない」
  4. 「すべてが神にかかっているかのように祈れ。すべてが自分にかかっているかのように働け」
  5. 「福音の中で自分の好むものだけを信じ、好まぬものを退けるなら、それは福音を信じているのではなく、自分自身を信じているのだ」
  6. 「姦淫における悪は情欲にある。他人の妻と共に暮らす機会がなくとも、もしその望みが明らかであり、機会さえあればそうしたであろうならば、それは実際に行為を見つかったのと同じ罪である」
  7. 「悔い改めの涙は罪の汚れを洗い流す」
  8. 「すべての戦争の目的は平和である」
  9. 「天使を悪魔へと変えたのは高慢であり、人を天使のようにするのは謙虚である」
  10. 「働く者は祈っているのと同じである」
  11. 「もし私がある定式を与えられても、その意味を知らなければ何も学ぶことはできない。だが、すでに知っているのなら、その定式は私に何を教えるのか」
  12. 「正義なきところにおいて、主権とは組織化された強盗にすぎない」
  13. 「習慣は第二の天性である」
  14. 「神があなたにどれほど与えたかを知り、その中から自分に必要な分だけを取りなさい。残りは他の人々に必要とされているのだ」
  15. 「ここに記された言葉は概念にすぎない。あなたはそれを経験として通過しなければならない」
  16. 「ある事柄は下手に語られたからといって必ずしも偽ではなく、また華麗に語られたからといって必ずしも真実ではない」
  17. 「愛は魂の美である」
  18. 「嫉妬する者は愛してはいない」
  19. 「霊である魂は塵の中に宿ることはできない。それは血の中に宿るために運ばれていく」
  20. 「愛はどのような姿をしているのか。愛には他者を助ける手があり、貧しい者や困窮する者のもとへ急ぐ足がある。悲惨や欠乏を見る目があり、人々の嘆きと悲しみを聞く耳がある。これが愛の姿である」
  21. 「主よ、私はあなたを外に探したために見いだせなかった。なぜなら、あなたは私の内におられるのに、私は外であなたを探し誤っていたからだ」
  22. 「神は詮索好きの者のために地獄を造られた」
  23. 「一つの魂の中で働くさまざまな力を誰が描き出せるだろうか。人間は深遠なる存在である、主よ。彼の頭の毛を数える方が、彼の感情や心の動きを数えるよりもはるかに容易である」
  24. 「忍耐は知恵の伴侶である」
  25. 「もし私たちに理性的な魂がなければ、信じることもできないだろう」
  26. 「高く昇りたいのか。まずは降りることから始めよ。雲を突き抜ける塔を建てようとするのか。まずは謙虚という基礎を据えよ」
  27. 「秘跡の霊的な力は光のようなものである。それが不浄な者の間を通っても、汚されることはない」
  28. 「神を最もよく知るのは、神を知らないことによってである」
  29. 「あなたは私たちをあなたのために造られました。そして私たちの心は、あなたのうちに憩うまで安らぐことはありません」
  30. 「もはや罪を犯すことができなくなってから罪を避けるのは、罪を自ら捨てたのではなく、罪の方に捨てられたにすぎない」
  31. 「理解するために信じようとしてはならない。信じることによって理解できるのだ」
  32. 「では、時間とは何か。誰も尋ねなければ、私はそれが何であるかを知っている。しかし、尋ねられて説明しようとすると、私は知らないのである」
  33. 「二人の友が争いの裁きをあなたに求めたなら、受けてはならない。なぜなら一人の友を失うからである。しかし二人の見知らぬ者が同じことを求めてきたなら、受け入れよ。なぜなら一人の友を得るからである」
  34. 「信仰とは、見えないものを信じることである。この信仰の報いは、信じたものを見ることである」
  35. 「願いこそが祈りである。そしてその願いが絶えないならば、あなたの祈りもまた絶えない。あなたの憧れの持続こそが、祈りの持続である」
  36. 「奇跡は自然に反するものではなく、ただ私たちが自然について知っていることに反するだけである」
  37. 「この世の栄誉とは何であろうか。それは虚しい誇りにすぎず、空虚であり、堕落の危険に満ちているのではないか」
  38. 「殉教者を作るのは刑罰ではなく、その原因である」
  39. 「人は山の高さに驚嘆し、海の大波に驚き、川の長い流れに感嘆し、大洋の広がりに驚き、星々の円運動に心を奪われる。しかし自分自身については素通りし、驚くことをしない」
  40. 「神は、悪が存在しないようにするよりも、悪から善を生じさせる方が良いと判断された」
  41. 「私たちを助けなしに創造した方は、私たちの同意なしに救うことはなさらない」
  42. 「私たちは守護天使の定めた境界を越えることはできない。従順であれ、不満であれ、彼は私たちの嘆きを聞いている」
  43. 「赦しとは罪の赦免である。失われたものが見いだされ、再び失われることから救われるのは、この赦しによってである」
  44. 「この世は泡にすぎない」
  45. 「今キリスト教と呼ばれているものは、古代の人々の間にも存在していた。以前から存在していた真の宗教を、人々はキリスト教と呼ぶようになったのである」
  46. 「人間の真の完成とは、自らの不完全さを見いだすことである」
  47. 「習慣は、抗わなければすぐに必然となる」
  48. 「完全な禁欲は、完璧な節度よりも容易である」
  49. 「私は友が、私が彼を思うのと同じだけの間、私を恋しく思ってほしい」
  50. 「最高の善を求めることこそ、善く生きることである」
  51. 「偉大になりたいのか。では、まず存在することから始めよ。広大で高くそびえる建物を築きたいのか。まずは謙虚という基礎について考えよ。構造が高くなるほど、その基礎はより深くならねばならない」
  52. 「神は地上に罪なき一人の御子を持たれたが、苦しみなき者を一人として持たれたことはない」
  53. 「主よ、私に貞潔と節制を与えてください、しかし今ではなく」
  54. 「なすべきことを行っても、それは義務であるゆえに称賛に値しない」
  55. 「主よ、私に貞潔を与えてください、しかし今ではなく」
  56. 「不正な法律は、私には法律とは思えない」
  57. 「ただ義務を果たしただけの者に、賛辞はふさわしくない」
  58. 「私の心は経験から思いを引き離し、感覚的イメージの相反する群れから自らを抜き出して、その身を包んでいた光が何であるかを知ろうとした……そして、ひとすじの急ぎ足の閃光によって、それは『存在するもの』の幻視に達した」
  59. 「意志と恩寵の関係は、馬と騎手の関係に似ている」
  60. 「罰とは、不正なる者に対する正義である」
  61. 「人のうちには、それ自身にさえ隠されているほどに深遠な深みがあると、あなたは信じないか」
  62. 「美は確かに神の良き賜物である。しかし、善き者がそれを偉大な善と誤解しないように、神はそれを悪しき者にも与える」
  63. 「悪の唯一の源は善である」
  64. 「謙遜のうちには、不思議と心を高める何かがある」
  65. 「忠実であることによって、私たちは自己の内において一つにまとめられ、統一される。かつて私たちは多様性の中に散らばっていたのだから」
  66. 「悪しき行いの告白は、善き行いの最初の始まりである」
  67. 「情け深い者は奴隷であっても自由であり、悪しき者は王であっても奴隷である」
  68. 「汝が命じることを与えたまえ、そしてその後、汝の望むままに命じたまえ」
  69. 「人は、幸福を望みながらも、幸福を不可能にするような生き方をしてしまう」
  70. 「奪われた正義の代わりに慈善を施しても、それは代替にはならない」
  71. 「自らの悪徳を踏みつけて克服するならば、それらは我々にとって梯子となる」
  72. 「世界は一冊の書物であり、旅をしない者はその一ページしか読まない」
  73. 「私が最も必要としていたのは、愛し、そして愛されることだった。捕らえられることを望んでいた私は、喜んでその痛ましい絆に身を包んだ。そして案の定、私は嫉妬という焼けた鉄の棒で打たれ、疑念と恐れ、怒りの爆発や争いによって打ちのめされた」
  74. 「至福とは、私たちの願望が成就されること、そして私たちの願望が節度あるものであることにある」
  75. 「愛せよ、そして好きなことをせよ」
  76. 「もし私たちが自らの悪徳を踏みつけるならば、その悪徳は私たち自身のための梯子となる」
  77. 「すべての人に善をなすことができない以上、時や場所、状況の偶然によってあなたとより密接に結ばれた人々に特別な注意を払うべきである」
  78. 「神は、まるで私たち一人ひとりしか存在しないかのように、それぞれを愛している」
  79. 「愛があなたの内に育つにつれて、美しさもまた育つ。というのも、愛とは魂の美であるからだ」
  80. 「謙遜はすべての他の徳の基礎である。ゆえに、この徳が存在しない魂には、見かけ以外のいかなる徳も存在し得ない」
  81. 「聖霊よ、豊かに我が心に降りたまえ。この忘れられた住まいの暗き隅々を照らし、そこにあなたの喜ばしき光を散りばめたまえ」
  82. 「反対の意見にも耳を傾けよ」
  83. 「プラトンやキケロの書に、賢く美しい言葉を数多く読んできた。しかし彼らのいずれの書にも『すべて疲れた者、重荷を負う者よ、我に来たれ』とは書かれていなかった」