「“第三世界”という言葉はあまり好きではありません。私たちは皆、ひとつの世界なのです。人々に知ってほしいのは、人類の大半が苦しんでいるということです」

- 1929年5月4日~1993年1月20日
- ベルギー出身
- 女優、人道活動家、ファッションアイコン
- 『ローマの休日』でアカデミー主演女優賞を受賞し、その気品ある美しさと演技で世界的な人気を博した。晩年はユニセフ親善大使として世界各地の子どもたちを支援し、映画界と人道活動の両面で深い影響を残した。
英文
“The ‘Third World’ is a term I don’t like very much because we’re all one world. I want people to know that the largest part of humanity is suffering.”
日本語訳
「“第三世界”という言葉はあまり好きではありません。私たちは皆、ひとつの世界なのです。人々に知ってほしいのは、人類の大半が苦しんでいるということです」
解説
この名言は、世界を分断する言葉に対する違和感と、人類全体の連帯を訴える姿勢を端的に表現している。「Third World(第三世界)」という表現は、しばしば経済的・社会的に「遅れた」地域を指す言葉として使われてきたが、オードリー・ヘプバーンはそこに無意識の差別や距離感があることに敏感であった。彼女は、地理や発展度によって人間を分類するのではなく、「私たちは皆同じ世界の一部」であるという視点を強く持っていた。
この言葉の背景には、ユニセフの親善大使として訪れたアフリカやアジアの国々での体験がある。そこで彼女は、無数の子どもたちや家族が飢えや病に苦しむ現実を目の当たりにし、「他人ごと」として扱われているその苦しみを、もっと近くに感じてほしいという願いを抱くようになった。「人類の大半が苦しんでいる」という一文には、統計ではなく、実感としての痛みと憂いがにじんでいる。
現代社会においても、情報や技術のグローバル化が進む一方で、経済格差や人道的危機は依然として深刻である。この名言は、言葉による分断ではなく、共感と連帯による理解を選ぶことの重要性を静かに、しかし力強く語っている。「ひとつの世界」という考え方は、単なる理想ではなく、苦しむ人々に目を向けるための出発点となるという、深い倫理観に基づいた名言である。
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