「人間の正直さを測る最良の方法は、所得税申告書ではない。それは浴室の体重計のゼロ調整である」

以下はアーサー・C・クラークの情報です。
- 1917年12月16日~2008年3月19日
- イギリス出身
- 作家、未来学者、発明家
『2001年宇宙の旅』をはじめとする数々のSF作品で知られ、科学的リアリズムと想像力に富んだ世界観を築いた。人工衛星通信の概念を提唱するなど科学技術にも貢献し、20世紀のサイエンスフィクションと未来思想を象徴する存在となった。
英文
“The best measure of a man’s honesty isn’t his income tax return. It’s the zero adjust on his bathroom scale.”
日本語訳
「人間の正直さを測る最良の方法は、所得税申告書ではない。それは浴室の体重計のゼロ調整である」
解説
この言葉は、人間の正直さと自己欺瞞をユーモラスに描き出している。クラークは、公的な場面での誠実さよりも、誰にも見られていない場面での小さな行動にこそ本当の正直さが表れると考えた。税務申告という制度的な監視下ではなく、誰にも知られず自分一人でゼロを調整する場面において、自己に対する誠実さが試されるのである。
この発想は、倫理とは外からの監視によってではなく、内なる規範によって支えられるべきであるという重要な理念を示している。小さなごまかしを許す態度は、大きな不正にもつながる可能性がある。クラークは、外面的な正直さよりも、自らの内面との誠実な対話を重視する視点を提示したのである。
現代においても、データ改ざんや個人情報の不正利用など、表面的な正当性を装うだけでは本質的な倫理性は保てない。この名言は、誠実さとは他者に示すものではなく、自らの心に対して持つべきものであることを教えており、真の信頼はその内面の正直さから生まれることを示している。
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