「不平等の最も悪しき形は、不平等なものを無理に等しくしようとすることである」

アリストテレスの名言・格言・警句(画像はイメージです)
アリストテレスの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 紀元前384年~紀元前322年
  • 古代ギリシャのマケドニア出身
  • 哲学者、科学者、学園「リュケイオン」設立者

英文

“The worst form of inequality is to try to make unequal things equal.”

日本語訳

「不平等の最も悪しき形は、不平等なものを無理に等しくしようとすることである」

解説

この言葉は、アリストテレスが『政治学』において説いた正義と平等に関する本質的な区別を強く反映している。彼にとって正義とは単なる画一的な平等ではなく、人や事柄の違いを考慮した「比例的平等(比例的正義)」であった。すなわち、等しいものは等しく、不等なものはその不等さに応じて扱うことが真の平等であるとした。

この視点からすると、能力・徳・貢献度・責任などが異なる者に対して一律に同じ扱いをすることは、本来の違いを無視した不正義となる。アリストテレスは、結果の平等ではなく、公正な基準に基づく適切な分配こそが社会秩序を保つ鍵であると考えた。したがって、「不平等なものを等しくすること」は、表面的には公正に見えても、実際には本質的な不正を助長する行為であるとされた。

現代においても、「機会の平等」と「結果の平等」の間には多くの議論がある。この名言は、真の正義は人々の違いを理解し、それに応じた適切な配慮をすることにあるという哲学的立場を示しており、平等という理念の誤用がもたらす逆説的な不正義への警告として今なお深い意味を持つ。

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