「説得は、話し手の人格によって達成される。話し方がその人物を信頼できるように思わせるとき、人は説得されるのである。人は善良な人物を他の者よりも深く、容易に信じる。これは一般的にすべての問題について言えることであり、確実な判断ができず意見が分かれる状況では特にそうである」
- 紀元前384年～紀元前322年
- 古代ギリシャのマケドニア出身
- 哲学者、科学者、学園「リュケイオン」設立者
英文
“Persuasion is achieved by the speaker’s personal character when the speech is so spoken as to make us think him credible. We believe good men more fully and more readily than others: this is true generally whatever the question is, and absolutely true where exact certainty is impossible and opinions are divided.”
日本語訳
「説得は、話し手の人格によって達成される。話し方がその人物を信頼できるように思わせるとき、人は説得されるのである。人は善良な人物を他の者よりも深く、容易に信じる。これは一般的にすべての問題について言えることであり、確実な判断ができず意見が分かれる状況では特にそうである」
解説
この言葉はアリストテレスの『弁論術』に見られるものであり、説得の本質は話し手の信頼性にあるという古典的レトリック理論を表現している。アリストテレスは説得の要素としてエートス（人柄）、パトス（感情）、ロゴス（論理）の三つを挙げるが、この名言はその中でもエートスの力を強調する部分である。
話し手が誠実で信頼できる人物であると認識されることが、受け手の心を動かす最も強力な要因となる。特に、確実な証拠がなく、意見が分かれる問題においては、論理よりも人柄が重要な役割を果たす。このことは、裁判、政治演説、教育などあらゆる説得の場において今も有効である。
現代のリーダーシップやマーケティング、SNSでの発信などにもこの原則は当てはまる。人々は言葉そのものよりも、その言葉を誰が語っているかに大きく影響される。したがって、説得力を高めるには、論理を練るだけでなく、日頃の行動を通じて信用を積み重ねることが重要であることをこの名言は教えている。
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