「優れた魂には、いくらかの狂気が混ざっていないことはない」

アリストテレスの名言・格言・警句(画像はイメージです)
アリストテレスの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 紀元前384年~紀元前322年
  • 古代ギリシャのマケドニア出身
  • 哲学者、科学者、学園「リュケイオン」設立者

英文

“No excellent soul is exempt from a mixture of madness.”

日本語訳

「優れた魂には、いくらかの狂気が混ざっていないことはない」

解説

この名言は、アリストテレスが卓越した人格や才能の本質を語る中で、人間の精神の奥深さと二面性に目を向けたものである。彼は『問題集(Problemata)』において、詩人や哲学者、芸術家などの傑出した人物にはしばしば常軌を逸した情熱や精神的激しさが見られると指摘した。それは単なる病的狂気ではなく、創造力や深い思索と密接に結びついた「高貴な狂気」である。

この考え方は、プラトンの語る「神的狂気(ディヴァイン・マッドネス)」とも響き合う。つまり、理性と感情、秩序と逸脱のあいだにある緊張こそが、人間を常人を超えた行為へと突き動かす原動力となるという理解である。アリストテレスは、優れた魂がこのような狂気に似た激しい動機づけや直感的認識を含むことを否定しなかった。

現代においても、多くの天才的な人物に見られる常人とは異なる思考や行動パターン、精神的な偏りが、むしろ偉大な業績の背景にあるとされる。この名言は、完全な理性だけでは偉業は成し得ないという事実を語り、人間の偉大さは秩序と混沌、理性と情熱の交錯から生まれるという真理を示している。

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