「良き支配者となる者は、まず支配される経験を持たねばならない」

- 紀元前384年~紀元前322年
- 古代ギリシャのマケドニア出身
- 哲学者、科学者、学園「リュケイオン」設立者
英文
“He who is to be a good ruler must have first been ruled.”
日本語訳
「良き支配者となる者は、まず支配される経験を持たねばならない」
解説
この言葉は、アリストテレスが『政治学』において論じた支配と服従の相補的関係を簡潔に示している。彼は、人間社会においては統治する側と統治される側の役割が循環的に関係していると考え、優れた統治者はまず服従者としての徳と経験を積むことによって、その正当性と能力を身につけると説いた。
アリストテレスにとって、政治とは単なる権力の行使ではなく、共同体の善を追求する倫理的実践である。したがって、支配者となる者は、まず規律の中で徳と責任を学び、他者の立場を理解する経験を経なければならない。この過程を通じて初めて、他者を公正に導くための判断力と節度ある行動が可能となる。ここには、支配することは奉仕することと同義であるという深い政治哲学が込められている。
現代でも、リーダーシップにおいて謙虚さ・共感・現場理解が重視されるのは、アリストテレスのこの思想に通じている。実際、優れた上司や指導者は、かつて部下や弟子としての経験から他者の視点を理解し、権力を正しく使う力を養っている。この名言は、真のリーダーシップとは、他者に仕えることから始まるという倫理的原理を明示するものであり、時代を超えて政治や組織における普遍的な教訓となっている。
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