「寡頭政治家も暴君も民衆を信用せず、ゆえに彼らから武器を奪う」
- 紀元前384年~紀元前322年
- 古代ギリシャのマケドニア出身
- 哲学者・科学者で学園「リュケイオン」の設立者
- プラトンの弟子で、論理学、生物学、政治学、倫理学などにおいて体系的な知識を構築し、西洋の思想や科学の発展に大きな影響を与えた
英文
”Both oligarch and tyrant mistrust the people, and therefore deprive them of their arms.”
日本語訳
「寡頭政治家も暴君も民衆を信用せず、ゆえに彼らから武器を奪う」
解説
この言葉は、支配者が民衆に対して抱く不信感とその支配の手法についてアリストテレスが述べたものである。彼は、寡頭制(少数支配)や独裁政治において、支配者が民衆の反発や抵抗を恐れるため、武器を取り上げ、民衆の力を抑制する傾向があると考えた。寡頭制支配者や暴君は、民衆を信頼することなく、自らの権力を維持するために民衆の力を抑え、武装を制限する。この行為は、支配者が民衆を敵視し、支配を続けるために彼らの自由や権利を奪う手段として利用される。
アリストテレスは、支配における不信と恐怖が抑圧的な手段に繋がると見なしていた。支配者が民衆を信頼し、協力関係を築くのではなく、不信感から武器を取り上げることで、支配の維持が可能になると考えられている。民衆が武器を持てば、独裁的な支配や不当な権力に対する抵抗が可能になるが、武器を取り上げることで、支配者は民衆をコントロールしやすくする。こうして民衆の力が奪われることにより、支配者の権力は一層安定するが、民衆の自由や安全は脅かされる。
具体例として、独裁体制における武器や情報の統制が挙げられる。歴史的にも、独裁者や支配階級が反乱や革命を防ぐために、民衆の武器を取り上げたり、軍や警察などの武装を限定したりすることはよく見られる。また、現代においても、一部の独裁国家が武器所持や情報の流通を厳しく制限することで、民衆の影響力を削ぎ、支配を維持しようとする例が見られる。このように、民衆の力を抑えるための武器や情報の統制は、支配者の不信感に基づくものといえる。
現代においても、アリストテレスのこの考えは、権力と信頼の関係、そして市民の権利保護の重要性を理解するための指針となっている。民主主義社会では、政府と民衆の間に信頼と透明性が必要であり、抑圧的な手段ではなく、協力や対話によって社会が築かれるべきとされている。特に、権力者が過度に市民の権利を制限する際には、社会に不安定さが生じやすくなるため、民衆の信頼を得るための仕組みが重要視されている。
アリストテレスのこの言葉は、支配における不信感が抑圧的な統制へと繋がることを教えている。民衆の力を信頼し、協力関係を築くことで、より安定した社会が実現する。この視点は、健全な社会や政府を築くうえで市民の権利と自由を守る必要性を再認識するための重要な教えである。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?