「悲劇とは、一つの行動が完全であり、一定の重要性を持つものであることを表現したものである。完全なものとは、始まりと中間と結末を持つものである」
- 紀元前384年~紀元前322年
- 古代ギリシャのマケドニア出身
- 哲学者・科学者で学園「リュケイオン」の設立者
- プラトンの弟子で、論理学、生物学、政治学、倫理学などにおいて体系的な知識を構築し、西洋の思想や科学の発展に大きな影響を与えた
英文
”A tragedy is a representation of an action that is whole and complete and of a certain magnitude. A whole is what has a beginning and middle and end.”
日本語訳
「悲劇とは、一つの行動が完全であり、一定の重要性を持つものであることを表現したものである。完全なものとは、始まりと中間と結末を持つものである」
解説
この言葉は、アリストテレスが悲劇の本質を表現するために示したものである。彼は、悲劇を「完全であり、まとまった形を持つ行動の表現」として捉えた。この「完全である」とは、物語が始まり、中間、結末という一貫した流れを持つことを意味している。悲劇は単なる出来事の連続ではなく、起承転結を伴った一つのまとまったストーリーとして成立していなければならないと考えた。
アリストテレスにとって、物語が完全であるためには、その行動が一定の重要性を持つ必要があった。これは、登場人物の行動が単なる個人的な出来事にとどまらず、視聴者や読者に影響を与えるほどの重みを持っていることを示している。悲劇の物語が人々の共感や感情を動かすには、登場人物の苦悩や葛藤が描かれ、その結果が物語の結末に結びつく必要がある。これにより、悲劇は単なる悲しい話ではなく、人間の本質や社会の複雑さを深く理解させる手段として機能する。
例えば、シェイクスピアの「ハムレット」は、アリストテレスが述べた「完全である」悲劇の例である。物語は、王子ハムレットが父親の死の真相を探り、その結果として復讐に向かう過程を描いている。物語には、明確な始まり(父王の死)、中間(葛藤と復讐への決意)、そして終わり(悲劇的な結末)があり、観客に強い感情的な影響を与える。ハムレットの葛藤や悩みは視聴者に共感を呼び、物語の流れが一貫していることで、観客は物語に没入しやすくなっている。
現代においても、アリストテレスのこの悲劇の定義は多くの物語作りに影響を与えている。映画やドラマ、文学作品において、物語が始まり、中間、結末を持つことで視聴者の理解と共感が深まることが分かっている。例えば、多くの映画が「三幕構成」という形式を取り入れているのは、アリストテレスの悲劇の構造と共通している。これは、観客が物語に没入し、感情移入しやすい形式であるためである。
アリストテレスのこの言葉は、物語の一貫性と完全性が重要であることを示しており、悲劇に限らずあらゆる物語において、明確な構造があることで内容が伝わりやすくなることを教えている。
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