「悲劇とは、全体として完結し、ある程度の規模を持つ行為の再現である。全体とは、始まり・中間・終わりを持つものである」

アリストテレスの名言・格言・警句(画像はイメージです)
アリストテレスの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 紀元前384年~紀元前322年
  • 古代ギリシャのマケドニア出身
  • 哲学者、科学者、学園「リュケイオン」設立者

英文

“A tragedy is a representation of an action that is whole and complete and of a certain magnitude. A whole is what has a beginning and middle and end.”

日本語訳

「悲劇とは、全体として完結し、ある程度の規模を持つ行為の再現である。全体とは、始まり・中間・終わりを持つものである」

解説

この名言はアリストテレスの『詩学』において、悲劇の本質を定義した部分である。アリストテレスは悲劇を単なる悲しい物語とは見なさず、一定の構造と秩序を持つ芸術形式と捉えた。ここでの「全体として完結した行為」とは、物語が意味のある流れを持ち、始まりから終わりまでの因果関係が明確であることを意味する。

彼は芸術における形式の重要性を強調しており、悲劇は単なる出来事の羅列ではなく、統一された行動の模倣でなければならないと考えた。そのため、物語には必ず「始まり・中間・終わり」が必要であり、それによって観客は感情的浄化(カタルシス)を得ることができるのである。これは、悲劇が単なる娯楽ではなく、倫理的・心理的効果を持つとする彼の美学に通じる。

現代の映画や演劇、小説にもこの原則は深く根付いている。良質な物語は必ず構造的な完成度を備えており、読者や観客に意味ある感情体験を与える。アリストテレスのこの名言は、物語を創作・評価する上での普遍的な基準を提示しており、文学や芸術に携わる者にとって今なお重要な指針である。

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