「日記を書くというのは、私のような人間にとって本当に奇妙な体験です。これまで何も書いたことがないからだけでなく、あとで私自身も、そして他の誰も、13歳の女の子の思いつきになんて興味を持たないように思えるからです」

- 1929年6月12日~1945年2月頃
- ドイツ出身(後にオランダに亡命)
- 日記作家、ホロコースト犠牲者
英文
“Writing in a diary is a really strange experience for someone like me. Not only because I’ve never written anything before, but also because it seems to me that later on neither I nor anyone else will be interested in the musings of a thirteen-year-old schoolgirl.”
日本語訳
「日記を書くというのは、私のような人間にとって本当に奇妙な体験です。これまで何も書いたことがないからだけでなく、あとで私自身も、そして他の誰も、13歳の女の子の思いつきになんて興味を持たないように思えるからです」
解説
この言葉は、自らの言葉に対する謙虚さと無名性の意識をにじませている。アンネ・フランクは、自分の日記が誰かの関心を引くとは思っていなかった。しかしその内面には、日記を書くことで自分を保ち、存在を確かめようとする深い動機が隠れている。この「strange experience」という言葉には、初めて自己と対話する感覚の新しさが込められている。
また、「musings of a thirteen-year-old schoolgirl」と自嘲気味に表現している点からは、年齢や立場によって社会に軽く見られる自分への客観的な視線が感じられる。だが実際には、その「思いつき」が後に世界中の人々に深い感動と歴史的証言を与えることになる。この名言は、どんなに小さな声でも、真実と誠実さをもって綴られたものには力があるということの象徴である。
現代でも、多くの人が自分の言葉には価値がないと思い込んでしまうが、この言葉はそのような考えに静かに反論する力を持っている。最も個人的な言葉が、時に最も普遍的な力を持つことを、アンネは知らず知らずのうちに体現していたのである。
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