「生きても死んでも、もうほとんどどうでもいいというところまで来てしまいました。私がいなくても世界は回り続けるし、どうせ何が起きても私には変えることができないのです」

- 1929年6月12日~1945年2月頃
- ドイツ出身(後にオランダに亡命)
- 日記作家、ホロコースト犠牲者
英文
“I’ve reached the point where I hardly care whether I live or die. The world will keep on turning without me, and I can’t do anything to change events anyway.”
日本語訳
「生きても死んでも、もうほとんどどうでもいいというところまで来てしまいました。私がいなくても世界は回り続けるし、どうせ何が起きても私には変えることができないのです」
解説
この言葉は、極限状態における深い絶望と無力感を率直に表現している。アンネ・フランクは、ユダヤ人としてナチスの占領下で隠れ家に暮らす日々のなかで、自分の存在が世界にとって取るに足らないものに思えるような感覚にとらわれていた。この「世界は回り続ける」という一節には、個人の力の限界と、自分が置かれている状況に対する諦念がにじんでいる。
しかし同時に、この名言は、苦しみの中でなおそれを書き留める理性と勇気を持ち続けていた証でもある。自らの生死に対する感情が麻痺するほどの状況においても、彼女はその思いを明確な言葉に変える力を持っていた。それこそが、アンネの精神的な成熟と自己認識の深さを示すものである。
現代でも、社会の中で自分の存在意義を見失い、無力感を抱える人々は少なくない。この言葉は、絶望が人間の心にどれほど深く入り込むかを伝えると同時に、その思いを表現することで他者に届く希望の種となる。書くことが生きる術であった彼女にとって、この言葉そのものが生の証であり、声を持つことの強さでもある。
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