「私は今、自分の良心をこう思うことでなだめています――きつい言葉が紙の上にあるほうが、ママの心の中に残るよりもましなのだと」

アンネ・フランクの名言・格言・警句(画像はイメージです)
アンネ・フランクの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1929年6月12日~1945年2月頃
  • ドイツ出身(後にオランダに亡命)
  • 日記作家、ホロコースト犠牲者

英文

“I soothe my conscience now with the thought that it is better for hard words to be on paper than that Mummy should carry them in her heart.”

日本語訳

「私は今、自分の良心をこう思うことでなだめています――きつい言葉が紙の上にあるほうが、ママの心の中に残るよりもましなのだと」

解説

この言葉は、感情の発露と罪悪感との間で揺れる繊細な心の動きを捉えている。アンネ・フランクは、自身が母親に対して抱いた苛立ちや批判的な感情を日記に書きつけることで、直接傷つけることを避けようとしていた。それは彼女にとって、感情を処理するための方法であると同時に、他人への配慮を失わない努力でもあった。

「soothe my conscience(良心をなだめる)」という表現は、アンネが自分の思いを率直に書くことと、それによって誰かを傷つけることへの葛藤を抱えていたことを示している。そして「hard words(きつい言葉)」を紙に残すことで、自らの内面を整理しつつ、母親との関係を守ろうとする複雑な思いやりがにじみ出ている。

現代でも、家族や近しい人との関係において、本音と優しさのバランスをどう取るかは大きな課題である。この名言は、感情をどう扱うかという倫理的な問いに対して、言葉の重さと、沈黙の代替手段としての「書くこと」の役割を静かに教えてくれる。そしてそれは、心を守る手段としての記録の力を物語っている。

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