「才能というものは存在しない。あるのは圧力だけである」

- 1870年2月7日~1937年5月28日
- オーストリア出身
- 精神科医、心理学者
英文
“There is no such thing as talent. There is pressure.”
日本語訳
「才能というものは存在しない。あるのは圧力だけである」
解説
この言葉は、アドラー心理学における能力と動機の関係性を極めて端的に表現している。アドラーは、生まれ持った「才能」や「素質」によって人間の価値や可能性が決まるとは考えず、環境や内的圧力(目標への欲求、劣等感の克服欲)によって人は力を発揮すると説いた。したがって、「才能」という概念は、往々にして努力や意志の影に隠された結果にすぎないと見る。
この言葉における「圧力」とは、外的な強制ではなく、自己が目指す目標や状況への適応を求められる内的な緊張を意味する。たとえば、困難な家庭環境や社会的制約の中で育った人が、自らの劣等感を克服しようとして並外れた成果をあげることがある。これは内なる圧力が創造性や努力を引き出した結果であり、「才能」と呼ばれるものの背後には必ずこのような心理的原動力が存在する。
この考えは、教育や人材育成の現場にも応用可能である。誰にでも成長や達成の可能性があるという信念は、固定的な才能観を打ち破り、努力・目的・環境の重要性を再認識させる。アドラーは、「才能がないからできない」ではなく、「やろうとしないからできない」という視点の転換を促し、人間の可能性を信じ抜く姿勢を強調したのである。
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