「経験された劣等感が大きければ大きいほど、克服への衝動はより強くなり、感情の動揺もより激しくなる」

アルフレッド・アドラーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
アルフレッド・アドラーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1870年2月7日~1937年5月28日
  • オーストリア出身
  • 精神科医、心理学者

英文

“The greater the feeling of inferiority that has been experienced, the more powerful is the urge to conquest and the more violent the emotional agitation.”

日本語訳

「経験された劣等感が大きければ大きいほど、克服への衝動はより強くなり、感情の動揺もより激しくなる」

解説

この言葉は、アドラー心理学の中核である劣等感と優越性追求の関係を端的に表している。アドラーは、劣等感は人間にとって避けがたい感情であり、それ自体が悪いものではなく、克服への動機付けとなる心理的エネルギー源であると捉えた。しかし、その劣等感が極端であるとき、自己肯定の回復に過剰な力が向けられ、行動や感情が極端になる傾向がある。

このような場合、人はしばしば社会的に適応的な方法ではなく、誇示的・攻撃的な形で優越性を求めようとする。たとえば、支配欲の強い態度、他者を見下す発言、過剰な競争心などが見られることがある。これは、内面にある「劣っている」という痛みから逃れるために、外面的な力や成果を過剰に追い求めている状態である。

この名言は、現代社会における極端な成功志向や過剰な承認欲求を読み解く鍵ともなる。アドラーは、感情の激しさや行動の過剰さの背後には、満たされない劣等感が隠れていることが多いと見抜いていた。真の克服とは、他者との比較や誇示ではなく、共同体の中で自己の価値を実感することで、内面の静かな自信を育むことであると説いているのである。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最新 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る