「どんな経験も、成功や失敗の原因にはならない。私たちはいわゆるトラウマという経験の衝撃に苦しめられているのではなく、それを自分の目的にかなうように解釈しているにすぎない」

アルフレッド・アドラーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
アルフレッド・アドラーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1870年2月7日~1937年5月28日
  • オーストリア出身
  • 精神科医、心理学者

英文

“No experience is a cause of success or failure. We do not suffer from the shock of our experiences, so-called trauma – but we make out of them just what suits our purposes.”

日本語訳

「どんな経験も、成功や失敗の原因にはならない。私たちはいわゆるトラウマという経験の衝撃に苦しめられているのではなく、それを自分の目的にかなうように解釈しているにすぎない」

解説

この言葉は、アドラー心理学の根幹をなす目的論的思考と主体性の原則を明快に表現している。アドラーは、フロイトのような過去原因論を退け、人は経験そのものに支配されるのではなく、その経験にどのような意味を与えるかによって現在の行動を選び取っていると考えた。つまり、トラウマは出来事ではなく、それに付与された意味の問題であるという視点である。

たとえば、幼少期に受けた拒絶体験を「自分は価値のない人間だ」と解釈すれば、社会的回避や自己否定的行動へとつながる。一方で、「この経験を乗り越えて成長しよう」と捉えれば、他者との協調や挑戦的な行動へと変換することもできる。アドラーは、人は受動的に「影響される」のではなく、能動的に「意味づけて」生きていると考えたのである。

この名言は、現代のメンタルヘルスやトラウマ研究においても挑戦的な視点を投げかける。アドラーは、被害者意識にとどまるのではなく、経験をどのように受け止め、それにどう向き合うかが人生の方向を決めると説いた。つまり、過去は変えられなくても、その意味と未来は変えられるという、希望に満ちた心理的自由を提示しているのである。

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