「自らの信条のために戦うことは、それを実際に守って生きることよりもたやすい」

- 1870年2月7日~1937年5月28日
- オーストリア出身
- 精神科医、心理学者
英文
“It is easier to fight for one’s principles than to live up to them.”
日本語訳
「自らの信条のために戦うことは、それを実際に守って生きることよりもたやすい」
解説
この言葉は、アドラーが重視した実践の倫理に対する深い洞察を表している。人はしばしば信条や理念を掲げて主張し、時にはそれを守るために闘争すら辞さないが、その理念に日々忠実に生きることのほうがはるかに困難である。なぜなら、行動には継続的な自己省察と、矛盾への誠実な対処が必要であり、言葉や姿勢だけで済まない現実との葛藤が伴うからである。
このような考え方は、アドラーが提唱したライフスタイル(人生様式)の一貫性とも関連する。理念と行動が乖離しているとき、人は内面的な緊張や不調和を感じやすくなる。だからこそ、アドラーは、真に成熟した人格とは、掲げる信条と日常の行動が一致していることにあると強調した。そしてそれは、他人に向けた主張ではなく、静かで持続的な実践によって示されるべきである。
現代においても、この言葉は大きな意味を持つ。SNSやメディアで理念が語られる機会が増える一方で、それを行動で体現することの難しさが露呈している。アドラーは、本当の価値は主張の強さではなく、理念に忠実であろうとする日々の選択の中にあるという倫理的メッセージをこの言葉に込めているのである。
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