「神経症的なライフスタイルを調査する際には、常に対立者の存在を疑い、患者の状態によって誰が最も苦しんでいるかに注目しなければならない。たいていの場合、それは家族の一員である」

アルフレッド・アドラーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
アルフレッド・アドラーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1870年2月7日~1937年5月28日
  • オーストリア出身
  • 精神科医、心理学者

英文

“In the investigation of a neurotic style of life, we must always suspect an opponent, and note who suffers most because of the patient’s condition. Usually this is a member of the family.”

日本語訳

「神経症的なライフスタイルを調査する際には、常に対立者の存在を疑い、患者の状態によって誰が最も苦しんでいるかに注目しなければならない。たいていの場合、それは家族の一員である」

解説

この言葉は、アドラー心理学におけるライフスタイル分析と家族関係の重要性を明示している。アドラーは、神経症的な行動や症状を単なる個人の問題と見るのではなく、対人関係の中に現れる戦略的な生き方として理解した。特に「対立者」(opponent)の存在は、患者が無意識のうちに特定の相手に向けて行動していることを示唆する。

この対立関係はしばしば家族内で起こる。たとえば、親の期待に反発するために病的行動を取る、または過度に保護的な家族に依存し続けるなど、患者の症状が家族関係の力学の中で形成・維持されている場合が多い。そして実際に最も影響を受け、苦しむのは、近くにいる家族であることがほとんどである。このため、症状だけを見るのではなく、その症状が誰に向けられており、誰を巻き込んでいるのかという対人関係の視点が不可欠となる。

この洞察は、現代の家族療法やシステム論的アプローチにも通じる。アドラーは早くから、個人の心理的問題は必ず対人関係の中に現れ、特に家族が最初の「社会」であることを重視していた。したがってこの名言は、個人の内面に閉じるのではなく、人間関係のネットワークの中で問題を捉えるべきであるという心理療法の基本姿勢を明確にしている。

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