「数学的推論は、直観と独創性と呼べる二つの能力を組み合わせて働かせる行為として、やや模式的に捉えることができる」

アラン・チューリング(画像はイメージです)
アラン・チューリング(画像はイメージです)
  • 1912年6月23日~1954年6月7日
  • イギリス出身
  • 数学者、論理学者、暗号解読者、「コンピューター科学の父」

英文

”Mathematical reasoning may be regarded rather schematically as the exercise of a combination of two facilities, which we may call intuition and ingenuity.”

日本語訳

「数学的推論は、直観と独創性と呼べる二つの能力を組み合わせて働かせる行為として、やや模式的に捉えることができる」

解説

この言葉はアラン・チューリングが数学の本質を考察する中で述べたものである。彼は数学的推論を単なる論理的操作の積み重ねとしてではなく、直観独創性という異なる資質の協働によって成り立つものと理解していた。直観は定理や解法への方向性を示す力であり、独創性はそれを具体的に形にしていくための工夫や新しい方法を生み出す力である。

この発想の背景には、チューリング自身の数学者としての経験がある。特に停止性問題などの難題に取り組む際、論理的手続きだけでは行き詰まる場面が多く、直観による洞察が新しい道筋を開くことがあった。同時に、その直観を実際に証明や理論へと結びつけるには独創的な工夫が不可欠であった。この二つの要素の相補性こそが、数学研究の実際的な姿なのである。

現代の視点から見れば、この言葉は科学的創造の普遍的な構造を示唆している。人工知能の発展においても、膨大なデータ処理や論理計算だけでなく、人間の持つ直観や創造性をどう取り込むかが課題となっている。チューリングの洞察は、数学に限らず知的営為全般に通じるものであり、今日でも研究者や技術者に強い示唆を与えている。

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