「社会主義は、理非曲直の問題ではない。単に一つの必然である」

- 1892年3月1日~1927年7月24日
- 日本出身
- 小説家、評論家
原文
「社会主義は、理非曲直の問題ではない。単に一つの必然である」
解説
この名言は、社会主義という思想や運動を、道徳的・論理的な評価の対象ではなく、歴史の流れとして不可避の現象であると捉える芥川の立場を明確に示している。「理非曲直の問題ではない」とは、社会主義が正しいか間違っているか、善か悪かという基準では測れないということであり、むしろそれは時代の必然、歴史の構造的帰結として起こるものであるという認識である。
この言葉の背景には、芥川が生きた大正から昭和初期の激動する社会と思想潮流への冷静な観察がある。当時、日本でも社会主義や共産主義思想が広まりを見せる一方で、それに対する弾圧やイデオロギー的対立も深刻化していた。芥川はそうした動きを、単なる善悪論争としてではなく、資本主義社会が孕む矛盾の帰結として社会主義の台頭が避けられないという、いわば歴史的必然と見ていた。
現代においても、この言葉は有効な視点を提供する。グローバル化や格差拡大といった現代社会の問題に対して、社会主義的な思想や政策が再評価される場面は少なくない。芥川のこの名言は、社会思想や制度を感情や道徳ではなく、構造や必然性として見つめる視点の重要さを示しており、個人的信条を超えた、知的誠実さと歴史的洞察の結晶といえるのである。
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