「最も僕を憂鬱にするもの。ーーカアキイ色に塗った煙突。電車の通らない通路の錆び。屋上庭園に飼われている猿」

- 1892年3月1日~1927年7月24日
- 日本出身
- 小説家、評論家
原文
「最も僕を憂鬱にするもの。ーーカアキイ色に塗った煙突。電車の通らない通路の錆び。屋上庭園に飼われている猿」
解説
この名言は、近代都市の片隅にある取り残された風景や人工的な孤独感が、人の心に与える深い憂鬱を詩的に表現している。芥川は具体的なイメージを通じて、時代の進歩に取り残された物たちに宿る哀愁や空虚を描き出している。「カアキイ色に塗った煙突」や「電車の通らない通路の錆び」は、役目を終え、ただ存在している人工物の無意味さを象徴する。
さらに「屋上庭園に飼われている猿」は、自然の本能を奪われた存在として、文明に囚われた人間自身の姿を暗示する。猿は本来自由に動くべき動物であるが、それがコンクリートの上で飼われているという状況には、不自然な閉塞と寂寥感が漂っている。
芥川はこうした都市に潜む静かな不条理や孤独に強く感受性を持ち、それらを「最も憂鬱にするもの」として挙げている。この感覚は現代の都市生活においても共鳴し、人間と文明の関係のねじれや歪みを鋭く照らしている。
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