「文芸家たらんとする中学生は、すべからく体操を学ぶこと勤勉なるべし。然らずんばその体格つねに薄弱にして、とうてい生涯の大業を成就せざるものと覚悟せよ」

- 1892年3月1日~1927年7月24日
- 日本出身
- 小説家、評論家
原文
「文芸家たらんとする中学生は、すべからく体操を学ぶこと勤勉なるべし。然らずんばその体格つねに薄弱にして、とうてい生涯の大業を成就せざるものと覚悟せよ」
解説
この名言は、文学的才能や知性を追い求める若者に対して、まず肉体の健全さを欠かしてはならぬという芥川の警句である。文芸家を志す者にとって精神や感性の鍛錬は重要だが、それを支える身体的基盤がなければ、長く偉業を成し遂げることはできないという、極めて現実的な視点が語られている。
芥川自身は身体が弱く、神経症や胃腸の病にも苦しんだ人物である。そうした自らの苦い体験がこの言葉の背景にあると考えられる。つまりこの警句は、自らの後悔と教訓に基づいた忠告でもある。知的活動に専念するあまり、体をおろそかにすることの危険性を、若い志望者たちに警告しているのである。
現代においても、創造的活動や知的労働を支えるためには、基礎体力や健康管理が不可欠であるという事実は変わらない。この言葉は、文学や芸術を志す者に対する厳しくも愛ある助言であり、精神と肉体のバランスこそが、真の創作の持続力をもたらすという、芥川の先見的な認識を示している。
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