「文章の中にある言葉は辞書の中にある時よりも美しさを加えていなければならぬ」

- 1892年3月1日~1927年7月24日
- 日本出身
- 小説家、評論家
原文
「文章の中にある言葉は辞書の中にある時よりも美しさを加えていなければならぬ」
解説
この名言は、言葉は単なる意味の集合ではなく、文章の中で生き生きと美しさを伴って使われてこそ価値があるという芥川の文学観を示している。辞書に載っている言葉はあくまで「定義」であり、そこには感情も文脈も美的効果も伴っていない。だからこそ、作家が文章を書くときには、その言葉に新たな命と美しさを与える責任があると述べているのである。
芥川は、文体と語感に極度にこだわった作家である。その作品はしばしば簡潔で明快でありながら、選び抜かれた語彙と繊細な構文に支えられている。この名言は、そうした美学の根底をなすものであり、作家にとっての言葉とは、素材であると同時に芸術そのものであるという信念が表れている。
現代でもこの言葉は創作者にとって大きな指針となる。文章を書くことは、辞書の語義を並べることではない。読者の心に響く言葉にするためには、文脈、響き、情緒、比喩などを通じてその語に「美しさ」を与える努力が求められる。芥川のこの一言は、言葉の芸術性を追求する者すべてに課された使命を明確に指し示している。
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