「我々はいったい何のために幼い子供を愛するのか?その理由の一半は少くとも幼い子供にだけは欺かれる心配のないためである」

芥川龍之介の名言・格言・警句(画像はイメージです)
芥川龍之介の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1892年3月1日~1927年7月24日
  • 日本出身
  • 小説家、評論家

原文

「我々はいったい何のために幼い子供を愛するのか?その理由の一半は少くとも幼い子供にだけは欺かれる心配のないためである」

解説

この言葉は、人間関係における不信や猜疑心の裏返しとしての子供への愛情を示している。芥川は、我々が幼い子供を愛する理由の一部には、彼らがまだ嘘や裏切りを知らない存在であり、無垢であることへの安心感があると述べている。

つまり、この言葉には大人同士の世界には常に欺きや駆け引きがあるという冷めた現実認識が前提としてあり、その対照としての子供の純粋さが浮かび上がる。人は、自分が裏切られる恐れのない相手にこそ自然と愛情を注ぐ傾向があるという心理の鋭い観察が見られる。

この名言は、子供の純真さを称えると同時に、我々自身の愛情の動機にある打算や防衛本能をも明るみに出している。それゆえ、無条件の愛に見えるものさえ、安心を求める自己中心的な欲求と無縁ではないことを鋭く指摘する、自己認識を促す言葉である。

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