「恋愛はただ性欲の詩的表現を受けたものである。少くとも詩的表現を受けない性欲は恋愛と呼ぶに価しない」

芥川龍之介の名言・格言・警句(画像はイメージです)
芥川龍之介の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1892年3月1日~1927年7月24日
  • 日本出身
  • 小説家、評論家

原文

「恋愛はただ性欲の詩的表現を受けたものである。少くとも詩的表現を受けない性欲は恋愛と呼ぶに価しない」

解説

この名言は、恋愛と性欲の本質的な関係を、冷静かつ文学的に定義している。芥川は、恋愛とは根源的には性欲に詩的な装飾や昇華が加えられたものに過ぎないと述べている。そして、詩的表現のない性欲は、たとえ強烈でも恋愛と見なされるべきではないと明言している。ここには、芥川らしい美と知性への信仰が透けて見える。

重要なのは、恋愛という感情がただの衝動ではなく、言葉や芸術性を通じて高められた状態であるという考え方である。たとえば、手紙を書く、詩を詠む、思いを綴るという行為は、単なる欲望に対して「恋愛」という名を与えるための儀式とも言える。恋愛には、美化や理想化が必要不可欠であり、それこそが人間が動物と違う証だという意識もここには潜んでいる。

現代においても、この言葉は有効である。瞬間的な欲望が溢れる時代にあっても、そこに詩情や想像力が介在することで、初めて「恋愛」と呼ばれるに値する関係が生まれる。芥川はこの言葉を通じて、人間の感情の芸術的側面と倫理的境界を明確に描き出している。

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