「天才とは僅かに我々と一歩を隔てたもののことである。ただこの一歩を理解するためには百里の半ばを九十九里とする超数学を知らなければならぬ」

- 1892年3月1日~1927年7月24日
- 日本出身
- 小説家、評論家
原文
「天才とは僅かに我々と一歩を隔てたもののことである。ただこの一歩を理解するためには百里の半ばを九十九里とする超数学を知らなければならぬ」
解説
この名言は、天才と凡人との差が「僅か一歩」であるにもかかわらず、その一歩の意味や重さを理解するには並外れた直観と認識力が必要であるという、芥川の鋭い知性と皮肉が織り交ぜられた洞察である。「百里の半ばを九十九里とする超数学」とは、常識的な計算や理屈では測れない、天才の領域に到達するための非常識な理解法を指している。
芥川は、天才と呼ばれる人物が我々と本質的にかけ離れた存在ではなく、ごくわずかな違いの中に決定的な隔たりを持っていると考えていた。その「一歩」は距離としては小さくとも、意味としては無限に広がっており、単なる努力や知識では埋められない深さと高さがある。そしてその隔たりを正しく理解するには、通常の論理ではなく、直観的・詩的・象徴的な「超数学」的把握が必要であると説く。
現代においても、この名言は創造性や才能についての理解に深い示唆を与える。天才とは、凡人が見落とすわずかな視点や感覚の違いに気づき、それを表現する力を持つ者である。そしてその違いを見抜く力もまた、一種の天才性を要する。芥川のこの言葉は、天才の本質を単純化せず、むしろその不可思議さと深遠さを認めようとする知的誠実さと謙虚さを教えてくれるのである。
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