「あらゆる古来の天才は、我々凡人の手のとどかない壁上の釘に帽子をかけている。もっとも踏み台はなかったわけではない」

- 1892年3月1日~1927年7月24日
- 日本出身
- 小説家、評論家
原文
「あらゆる古来の天才は、我々凡人の手のとどかない壁上の釘に帽子をかけている。もっとも踏み台はなかったわけではない」
解説
この名言は、天才と凡人との隔たりをユーモラスに、しかし痛烈に表現している。芥川は、天才の業績や思想があまりにも高みにあって、我々凡人には容易に理解できないものであることを、「壁上の釘に帽子をかける」という比喩で示している。これは、天才の思考や創造が、我々の認識の範囲を超えていることを意味する。
しかしながら、芥川は同時に「もっとも踏み台はなかったわけではない」とも述べている。この一文は、天才がまったく孤立した存在ではなく、我々凡人にも何らかの手がかりを残していることを示唆している。すなわち、努力や学習によって天才の思考に少しでも近づく道はあるという希望を読み取ることができる。この両義的な表現は、芥川の知性と観察眼の鋭さをよく表している。
この名言は、現代においてもなお有効な示唆を持つ。例えば、アインシュタインの理論やピカソの芸術に圧倒されるとき、それらが我々の理解を超える存在であると同時に、その一端に触れるための「踏み台」もまた存在している。天才と自分を比較して絶望するのではなく、彼らが残した痕跡から学びとる姿勢が重要であることを、芥川は暗に語っているのである。
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