「我々が採用した『社会主義者』という呼称は、マルクス主義の社会主義とは何の関係もない。マルクス主義は反私有財産だが、本当の社会主義はそうではない」

- 1889年4月20日~1945年4月30日
- オーストリア=ハンガリー帝国出身
- ナチス・ドイツの政治指導者
英文
”Our adopted term ‘Socialist’ has nothing to do with Marxian Socialism. Marxism is anti-property; true socialism is not”
日本語訳
「我々が採用した『社会主義者』という呼称は、マルクス主義の社会主義とは何の関係もない。マルクス主義は反私有財産だが、本当の社会主義はそうではない」
解説
この発言は、国家社会主義(ナチズム)における「社会主義」という語の定義が、マルクス主義のそれと根本的に異なることを明示している。ナチスは「社会主義者」を自称したが、その目的は階級闘争の解消や富の再分配ではなく、民族共同体の統合と国家への奉仕という観点からの社会統制であった。
ヒトラーがここで述べているように、マルクス主義は私有財産の廃止を目指す経済理論であり、資本の公有化を中心に据えていた。それに対し、ナチスの「社会主義」は、私有財産を否定せず、むしろそれを国家の監督下で利用することに重点を置いていた。つまり、経済の自由を一定程度残しつつも、国家がその運用と方向性を指導する体制であり、「社会主義」という名称を用いていたものの、本質的には全体主義的民族主義に基づく体制であった。
この発言は、政治用語がいかに恣意的に再定義され、思想的混乱を生み出すかの一例である。特定の言葉が持つ歴史的・理論的意味合いを捨象して利用することで、表面的な正義や連帯のイメージを与えながら、実際にはまったく異なる価値体系が浸透していく。現代においても、用語の使用における文脈と定義の重要性を、この言葉は改めて教えている。
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