「我々の運動においては、左翼の共産主義者と右翼の将校や学生という二つの極端が一つに結びつくのだ」

アドルフ・ヒトラーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
アドルフ・ヒトラーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1889年4月20日~1945年4月30日
  • オーストリア=ハンガリー帝国出身
  • ナチス・ドイツの政治指導者

英文

”In our movement the two extremes come together: the Communists from the Left and the officers and students from the Right.”

日本語訳

「我々の運動においては、左翼の共産主義者と右翼の将校や学生という二つの極端が一つに結びつくのだ」

解説

この発言は、アドルフ・ヒトラーがナチス運動の本質を「左右の融合」として説明しようとしたものであり、ナチズムが既存のイデオロギーの枠に収まらない運動であることを強調している。ここで言う「左の共産主義者」は、経済的不平等に反発する急進的労働者層を、「右の将校や学生」は、伝統・秩序・国家主義を信奉するエリート層を象徴している。

ナチスは実際、1920年代から30年代にかけて、社会の不満層を左右問わず巧みに取り込む戦略をとった。たとえば、経済的に困窮した労働者には「反資本主義」的スローガンを掲げ、一方で伝統を重んじる保守層には「国家再建」や「反共主義」を訴えた。このように、互いに敵対していたような階層や思想を、「民族共同体(Volksgemeinschaft)」という幻想のもとに統合することが、ナチズムの巧妙さであった

この発言が示すのは、極端に異なる思想や社会層が、「共通の敵」や「救済の幻想」によって結びつくことがありうるという危険性である。現代においても、政治運動がイデオロギーの混成や矛盾を含みつつも、感情的訴求によって大衆を動員する例は少なくない理念の整合性ではなく「熱狂」や「敵意の共有」が運動の原動力となるとき、そこには全体主義の芽が潜んでいる。このような構造に対する冷静な理解が、歴史の教訓である。

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