「いかなる国においても土地がすべて私有財産となるや否や、地主たちは他の人間と同じように、自らは種をまかぬところで収穫を得ることを好み、その土地の自然の産物にさえ地代を要求する」

- 1723年6月5日~1790年7月17日(67歳没)
- スコットランド出身
- 経済学者、哲学者、「古典派経済学の父」
英文
“As soon as the land of any country has all become private property, the landlords, like all other men, love to reap where they never sowed, and demand a rent even for its natural produce.”
日本語訳
「いかなる国においても土地がすべて私有財産となるや否や、地主たちは他の人間と同じように、自らは種をまかぬところで収穫を得ることを好み、その土地の自然の産物にさえ地代を要求する」
解説
この言葉はアダム・スミスが地代と土地所有の本質について述べたものである。彼は『国富論』の中で、土地が私有化されると地主は農業や生産活動に直接関わらずとも、土地という資源の独占によって収益を得ると指摘した。これは地代の性格を端的に示す表現であり、労働や資本とは異なる独自の所得源としての土地所有の問題を浮き彫りにしている。
スミスは地主を道徳的に非難するというより、市場における土地の特異性を説明しようとした。土地は有限であり、自然の産物は本来誰にでも開かれているはずだが、私有化によって利用は制限され、地主が対価を要求する。この構造は、労働や資本と異なり、生産活動に直接的に寄与しない所得を生み出すものであった。
現代においても、この指摘は重要である。土地所有に基づく不労所得や地価高騰は、格差や都市問題の原因となっている。スミスの言葉は、土地制度や不労所得に対する批判的視点を先取りしたものとして、今日の経済政策や不動産問題の議論に通じる普遍的な洞察を提供している。
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