「伝記は、死に新たな恐怖を与える」
- 1854年10月16日~1900年11月30日
- アイルランド出身
- 作家、詩人、劇作家
- 『ドリアン・グレイの肖像』『真面目が肝心』『サロメ』などの小説、戯曲、詩を執筆し、ウィットに富んだ社会批評とユーモアを通じて、19世紀後半のイギリス文学に大きな影響を与えた
英文
“Biography lends to death a new terror.”
日本語訳
「伝記は、死に新たな恐怖を与える」
解説
オスカー・ワイルドはこの名言で、伝記の本質的な性質について皮肉交じりの見解を述べている。彼は、伝記が人の生涯を記録し、その人の成功や失敗、秘密や欠点を公にすることで、死後の評価が決して安らかなものでない場合があると示唆している。伝記によって、他人に知られたくないことや、自分の意図とは異なる解釈を残される恐れが生じ、これが「新たな恐怖」として死後の世界に影響を及ぼすというワイルドのユーモアと風刺が表現されている。
この名言は、現代においても死後の評価と名声について考えさせるものである。私たちは生前の行動や発言がどのように記録され、後世に伝えられるかを気にする一方で、伝記によって知られたくない事実や解釈が後世に誤解を生むことを恐れることがある。特に、偉人や有名人の伝記では、本人の意図とは異なる側面や偏見が加えられることも少なくない。ワイルドの言葉は、伝記がもたらすこのような側面に対する風刺であり、死後も他人の評価に左右されることへの皮肉な洞察を含んでいる。
また、この名言は、記録と記憶の曖昧さについての示唆も含んでいる。伝記が他者の視点によって書かれることで、本人の意図や本質が歪められたり、真実が複雑化することがある。ワイルドはこの言葉を通じて、他人による「解釈」としての伝記が必ずしも本人の本当の姿を伝えるわけではなく、伝記そのものがまた新たな恐怖や不安の源となる可能性を示している。この名言は、私たちが残す「記憶」がどのように扱われ、どのように後世に影響を与えるかについて再考するきっかけを提供している。
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