「この世に、妻の献身に匹敵するものはない。それは夫には決してわからないものだ」
- 1854年10月16日~1900年11月30日
- アイルランド出身
- 作家、詩人、劇作家
- 『ドリアン・グレイの肖像』『真面目が肝心』『サロメ』などの小説、戯曲、詩を執筆し、ウィットに富んだ社会批評とユーモアを通じて、19世紀後半のイギリス文学に大きな影響を与えた
英文
“There is nothing in the world like the devotion of a married woman. It is a thing no married man knows anything about.”
日本語訳
「この世に、妻の献身に匹敵するものはない。それは夫には決してわからないものだ」
解説
オスカー・ワイルドは、この名言を通じて、結婚関係における女性の献身の特別さを皮肉交じりに表現している。彼の時代である19世紀末、女性には伝統的に家族や夫への献身が期待されていたが、ワイルドはその価値を称賛しつつ、同時に結婚における男女の役割の不平等にも言及している。当時の社会では、結婚後の女性の自由や個人としての権利が制限されていたため、彼はその「献身」がもたらす矛盾にも注意を向けていたのかもしれない。
現代においても、結婚における献身は依然として大切な価値とされるが、パートナー間での理解や尊重がさらに求められるようになっている。多くの人が対等な関係を築こうと努力する中で、ワイルドの言葉は、結婚における男女の感じ方や役割が異なることに対するユーモアと洞察を提供している。たとえば、仕事や家事、育児などの分担において、各自がそれぞれの負担や献身を理解することが重要視されているが、ワイルドは「夫には決してわからない」と断言することで、夫婦の間で必ずしもすべてが理解されるわけではない現実を示唆しているのだ。
また、ワイルドのこの言葉は、男女が互いの視点を理解することの難しさを象徴しているといえる。愛情や献身がどれほど深くても、相手の立場や感じ方を完全に理解することは不可能かもしれない。しかし、互いに「わからない」というギャップがあるからこそ、相手に対して思いやりを持ち続け、関係を育む努力を惜しまないことが重要である。ワイルドは、この言葉を通じて、夫婦が「すべてを理解し合う」ことを超えて、互いに尊重し合うことの大切さを示唆しているのである。
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