「古代の人々は私たちに美の女神への捧げ物を勧めたが、ミルトンは悪魔に捧げた」

ヴォルテール
ヴォルテールの名言
  • 1694年11月21日~1778年5月30日
  • フランス出身
  • 哲学者、文学者、歴史家
  • 『歴史哲学』、『寛容論』、『哲学辞典』、『哲学書簡』、『オイディプス』、『カンディード』などの多数執筆し、啓蒙思想の先駆者として知られる

英文

“The ancients recommended us to sacrifice to the Graces, but Milton sacrificed to the Devil.”

日本語訳

「古代の人々は私たちに美の女神への捧げ物を勧めたが、ミルトンは悪魔に捧げた」

解説

ヴォルテールは、古代の文化が美や調和、優雅さを重んじていた一方で、ジョン・ミルトンが詩作の中で人間の暗い側面や悪をも描いたことを皮肉を交えて表現している。「グレイシーズ(美の女神)」は、古代ギリシャにおいて優雅さや調和、美を象徴する女神たちであり、古代の価値観では人間の理想として尊ばれた。しかし、詩人ミルトンは『失楽園』において、悪の象徴である悪魔(サタン)を中心に据え、人間の堕落や罪、善悪の葛藤を表現している。ヴォルテールは、ミルトンの文学が単なる美の追求を超え、深い内面や暗い側面をも描いたことを指摘している。

現代においても、この言葉は芸術や文学が人間の複雑な側面を表現することの意義を再認識させる。美しさや調和だけでなく、善と悪、光と影といった両極を描くことで、文学や芸術はより深い人間の本質や真実を追究することができる。ミルトンが悪魔の姿を通して人間の葛藤や弱さを描いたように、現代の芸術でも時に不安や痛みを題材とすることで、人間の全体像を浮かび上がらせることができる。ヴォルテールの言葉は、芸術が単に理想化された美や善を描くだけでなく、現実的で複雑な人間性を含む作品に意義があると示している。

この名言は、芸術や文学が単なる美の追求にとどまらず、人間の内面や暗い側面も描くことで、深い理解と洞察をもたらすことを教えている。美の表現も重要であるが、時には「悪」の存在を通じて人間の本質に迫ることが芸術の役割であると、ヴォルテールは示唆している。

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