「殺人は禁じられている。ゆえに、すべての殺人者は罰せられる…ただし、大勢を殺し、ラッパの音に乗せて行われる場合は別だ」
- 1694年11月21日~1778年5月30日
- フランス出身
- 哲学者、文学者、歴史家
- 『歴史哲学』、『寛容論』、『哲学辞典』、『哲学書簡』、『オイディプス』、『カンディード』などの多数執筆し、啓蒙思想の先駆者として知られる
英文
“It is forbidden to kill; therefore all murderers are punished unless they kill in large numbers and to the sound of trumpets.”
日本語訳
「殺人は禁じられている。ゆえに、すべての殺人者は罰せられる…ただし、大勢を殺し、ラッパの音に乗せて行われる場合は別だ」
解説
ヴォルテールは、戦争や権力の名のもとに行われる大量殺戮が、個人の殺人とは異なりしばしば正当化されてしまうという皮肉を込めている。個人的な殺人は社会で厳しく罰せられる一方で、戦争などにおいて権力者が指揮する大量の殺人は、英雄的行為や栄誉として扱われることがある。この名言には、殺人が禁じられているはずの行為であるにもかかわらず、状況や規模によってその扱いが変わり、時に称賛されるという社会の矛盾が鋭く批判されている。
現代においても、この言葉は戦争や権力による暴力行為に対する批判的な視点を再認識させる。例えば、戦争が行われるとき、その背後にある犠牲や破壊の実態を無視して、国家のための正義や勝利として称賛されることがある。しかし、個人による殺人と大規模な戦争による大量殺戮は同じ人命の奪取であり、その基準が状況によって曖昧になり、倫理的な一貫性を失っている。ヴォルテールの言葉は、戦争や権力が行う殺人の正当化を冷静に見つめ、殺人という行為の本質的な矛盾について問いかけている。
この名言は、権力や状況によって人命が異なる価値で扱われる社会の矛盾を示している。個人による殺人と、戦争における大量殺戮の境界線を問いかけ、真の正義が何であるかを考えさせる。ヴォルテールの言葉は、社会が持つ二重基準を批判し、戦争や権力による暴力が正当化されてはならないことを示唆している。
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