「暴君には常にわずかな美徳の影がある。法律を破壊する前に、それを支持するからだ」

ヴォルテール
ヴォルテールの名言
  • 1694年11月21日~1778年5月30日
  • フランス出身
  • 哲学者、文学者、歴史家
  • 『歴史哲学』、『寛容論』、『哲学辞典』、『哲学書簡』、『オイディプス』、『カンディード』などの多数執筆し、啓蒙思想の先駆者として知られる

英文

“Tyrants have always some slight shade of virtue; they support the laws before destroying them.”

日本語訳

「暴君には常にわずかな美徳の影がある。法律を破壊する前に、それを支持するからだ」

解説

ヴォルテールは、暴君がしばしば法を尊重するふりをして民衆の信頼を得つつ、最終的にはその法を破壊するという策略を指摘している。彼の言葉には、権力者が正当性を装い、まずは法律や秩序を支持して見せることで人々の信頼を得た後に、徐々に法を無視した支配に転じるという、支配者の行動の本質が含まれている。暴君が直接的な圧政を行うのではなく、法律や秩序を利用することで、自らの権力を徐々に確立する過程を皮肉的に述べている。

現代においても、この言葉は権力の危険性や、支配者が法や秩序を装って行う不正に対する警戒を呼び起こす。たとえば、独裁的な政治体制や権力者が、はじめは法の守護者であるかのように振る舞いながら、次第に法の抜け穴を利用したり、法を改変することで権力を集中させることがある。また、選挙や司法制度などを通じて正当性を得ようとしながら、権力を掌握した後にその制度を無力化する手法も、現代のいくつかの国家に見られる。ヴォルテールの言葉は、法の表面だけでなく、その運用や解釈においても公正さが保たれているかを見極めることの重要性を説いている。

この名言は、権力者の表面上の善意や正当性に惑わされず、その行動の真の意図を見極めることの大切さを教えている。法や秩序があるからといって、それが常に公平に守られるわけではないという現実を認識し、権力の乱用に対して警戒する必要がある。ヴォルテールの言葉は、表面に現れる「美徳」に注意を払い、それが真の公正を損なうものでないかを慎重に見極めることが、健全な社会の維持に不可欠であると示している。

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