「ある物事が非合理であることは、その存在を否定する論拠ではなく、むしろその存在の条件である」

フリードリヒ・ニーチェ
フリードリヒ・ニーチェの名言
  • 1844年10月15日~1900年8月25日
  • ドイツ出身
  • 思想家、哲学者、詩人、古典文献学者
  • 『ツァラトゥストラはこう語った』『善悪の彼岸』『道徳の系譜』などの著作で、従来の道徳や宗教、真理に疑問を投げかけ、現代哲学に多大な影響を与えた

英文

“The irrationality of a thing is no argument against its existence, rather a condition of it.”

日本語訳

「ある物事が非合理であることは、その存在を否定する論拠ではなく、むしろその存在の条件である」

解説

ニーチェは、物事が非合理であることが、それ自体の存在を否定する理由にはならず、むしろその物事が存在するための本質的な条件であると述べている。この見解は、現実に存在するものすべてが理性や論理で説明できるわけではなく、非合理な性質を持っているものも多く、それこそが実際に存在している証だという考え方である。人間の感情や直感、偶然の出来事、あるいは自然の不規則性など、理性で完全には理解できないものが数多く存在しており、それらが現実の一部として成立しているのだと示唆している。

この言葉は、存在が必ずしも論理的で整合性のあるものだけで成り立っているわけではないことを強調している。たとえば、愛や芸術の創造性といったものは非合理的な側面を多く含んでおり、それが故に魅力的であり、豊かな表現となっている。また、自然現象や人間の行動の多くは、理性では測れない複雑さを伴っているが、それもまた現実に存在するものとして受け入れられている。ニーチェは、非合理的なものの存在そのものが、私たちの世界を豊かで複雑なものにしていると考えている。

ニーチェのこの言葉は、物事の非合理性がその存在にとって必須の条件であることを教えている。私たちはすべてを論理的に理解しようとするが、実際には理解しきれないものが現実の中に多く存在する。そのような非合理的な要素があるからこそ、現実は多様であり、理性を超えたものをも含む豊かな世界が形成されている。ニーチェは、非合理なものをも含む広い視野を持つことが、現実を正しく理解するための鍵であると示唆している。

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