「世界には宗教を破壊するだけの宗教さえ十分には存在しない」
- 1844年10月15日~1900年8月25日
- ドイツ出身
- 思想家、哲学者、詩人、古典文献学者
- 『ツァラトゥストラはこう語った』『善悪の彼岸』『道徳の系譜』などの著作で、従来の道徳や宗教、真理に疑問を投げかけ、現代哲学に多大な影響を与えた
英文
“There is not enough religion in the world even to destroy religion.”
日本語訳
「世界には宗教を破壊するだけの宗教さえ十分には存在しない」
解説
ニーチェは、現代社会の宗教に対する関心や信仰の強さが、かつてのような熱意や強さを失っていると指摘している。彼の見解では、宗教がその本来の力を失いつつあり、そのために、宗教自体を否定するほどの熱意すら存在していないという逆説的な状況にある。つまり、宗教がかつて持っていた力や影響力が薄れているため、宗教を根本的に批判したり解体するための真剣なエネルギーさえも不足しているという見方である。
この言葉は、宗教がかつてのように絶対的な信仰や強い情熱の対象でなくなっている現代の姿勢を反映している。たとえば、信仰が生活の中心であり、激しい議論や闘争の引き金となっていた時代があったが、現代においては宗教的な情熱が弱まり、それを根本的に変えようとする意志さえ乏しくなっている。ニーチェは、宗教が依然として存在しているにもかかわらず、以前のように人々の生活や価値観を支配するほどの力を持たなくなっている点に注目し、それが宗教を破壊するだけの「宗教的な力」さえも生み出せない要因になっていると考えている。
ニーチェのこの言葉は、現代の宗教に対する熱意や信念がかつてのような強さを失い、宗教そのものに対する批判的なエネルギーさえも弱まっている状況を描いている。宗教がかつて持っていた情熱や絶対性が薄れ、現在ではその存在に対して強く反発する気力さえ失われている。ニーチェは、宗教がその本質的な力を失っていることが、宗教を変えたり破壊したりするための新たなエネルギーや情熱を阻んでいると考えている。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?