「不当に受けた称賛は、不当に受けた非難よりも後に良心の痛みを引き起こす。それはおそらく、過度な称賛を受けることで自分の判断力がより完全に露呈してしまうからであり、不当に低く評価されるよりも痛みが大きいのである」
![フリードリヒ・ニーチェ](https://note.lv73.net/wp-content/uploads/2024/11/Nietzsche187a-512.webp)
- 1844年10月15日~1900年8月25日
- ドイツ出身
- 思想家、哲学者、詩人、古典文献学者
- 『ツァラトゥストラはこう語った』『善悪の彼岸』『道徳の系譜』などの著作で、従来の道徳や宗教、真理に疑問を投げかけ、現代哲学に多大な影響を与えた
英文
”Undeserved praise causes more pangs of conscience later than undeserved blame, but probably only for this reason, that our power of judgment are more completely exposed by being over praised than by being unjustly underestimated.”
日本語訳
「不当に受けた称賛は、不当に受けた非難よりも後に良心の痛みを引き起こす。それはおそらく、過度な称賛を受けることで自分の判断力がより完全に露呈してしまうからであり、不当に低く評価されるよりも痛みが大きいのである」
解説
ニーチェは、不当に与えられた称賛が不当な非難よりも、後に自己の良心を苦しめる原因になりやすいと指摘している。不当な称賛を受けたとき、自分が本来持っていない価値や能力を誇張されることで、自分の実力や判断力の限界が露わになりやすく、それが良心の痛みとして残る。過度な称賛は、自分が「それにふさわしくない」と感じる場合、内面的に自己を責める要因となることがある。この「露呈」した感覚が、非難よりも心理的な負担として重くのしかかるというのがニーチェの考えである。
この視点は、現代の社会や自己評価の問題にも通じる。たとえば、職場や学業で自分が実力以上に評価されたり褒められたりすると、そのギャップがプレッシャーや罪悪感を生み出すことがある。人は不当な非難には反論しやすいが、過度な称賛に対しては内面的に受け止めることが難しく、自己の判断力や実力に対する不安をかき立てられることがある。ニーチェは、過剰な称賛が自己認識に微妙な影響を与え、自己評価において不安定な要因となる可能性を指摘している。
ニーチェのこの言葉は、称賛や非難に対する反応の違いを理解し、自己評価に慎重であるべきことの重要性を教えている。称賛を受けたときでも、冷静に自己を見つめ直し、実力や判断力を過信しないことが大切である。ニーチェは、自己評価を正確に保つことが、過剰な称賛や不当な評価に振り回されず、真の成長と内面の安定を築くために重要であると示唆している。
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