「人生についての判断や価値判断、賛否の評価は、結局のところ真実ではありえない。それらには症状としての価値があるだけであり、症状としてのみ考慮されるべきだ。それ自体では、そのような判断は愚かさに過ぎない」
- 1844年10月15日~1900年8月25日
- ドイツ出身
- 思想家、哲学者、詩人、古典文献学者
- 『ツァラトゥストラはこう語った』『善悪の彼岸』『道徳の系譜』などの著作で、従来の道徳や宗教、真理に疑問を投げかけ、現代哲学に多大な影響を与えた
英文
”Judgments, value judgments concerning life, for or against, can in the last resort never be true: they possess value only as symptoms, they come into consideration only as symptoms — in themselves such judgments are stupidities.”
日本語訳
「人生についての判断や価値判断、賛否の評価は、結局のところ真実ではありえない。それらには症状としての価値があるだけであり、症状としてのみ考慮されるべきだ。それ自体では、そのような判断は愚かさに過ぎない」
解説
ニーチェは、人生に関する賛否や価値判断は絶対的な真実を持つことはなく、それ自体で真理を語るものではないと指摘している。彼にとって、こうした判断や価値観は、その人の状態や性格、背景などを表す「症状」としての意味があるだけであり、人生そのものを評価したり、正当化したりする真理にはなり得ない。つまり、人が持つ価値観や判断は絶対的なものではなく、個々の心理的な傾向や感情を反映しているに過ぎないという視点である。
この考え方は、現代の心理学的視点にも通じる。たとえば、ある人が「人生は無意味だ」と感じるとすれば、それはその人の精神的な状態や環境に影響されている可能性が高く、人生そのものが無意味であるという絶対的な真理ではない。逆に、人生を素晴らしいものと評価することも、個人の価値観や心理的傾向を示しているだけであり、普遍的な真実を述べているわけではない。ニーチェは、人生に対する判断や価値観が個人の内面を表すものであり、絶対的な真理ではないことを強調している。
ニーチェのこの言葉は、私たちの価値判断や人生観が、実際には自己の内面を映すものであり、他者や普遍的な価値観に適用されるべきではないことを教えている。人生に対する評価を絶対視せず、自分の状態や傾向を冷静に見つめることで、他者や人生に対する寛容さや柔軟さを持つことができる。ニーチェは、価値判断の絶対性に対して疑問を投げかけ、判断そのものよりも、それを通じて表れる内面に目を向けるよう促している。
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