「芸術が存在するためには、また美的活動が存在するためには、ある種の生理的前提が不可欠である。それは陶酔である」

フリードリヒ・ニーチェ
フリードリヒ・ニーチェの名言
  • 1844年10月15日~1900年8月25日
  • ドイツ出身
  • 思想家、哲学者、詩人、古典文献学者
  • 『ツァラトゥストラはこう語った』『善悪の彼岸』『道徳の系譜』などの著作で、従来の道徳や宗教、真理に疑問を投げかけ、現代哲学に多大な影響を与えた

英文

”For art to exist, for any sort of aesthetic activity to exist, a certain physiological precondition is indispensable: intoxication.”

日本語訳

「芸術が存在するためには、また美的活動が存在するためには、ある種の生理的前提が不可欠である。それは陶酔である」

解説

ニーチェは、芸術や美的活動の創造には「陶酔」、すなわち意識が高揚し、自我を超越するような状態が不可欠であると述べている。ここでの「陶酔」は、単にアルコールや薬物の効果を指すものではなく、感情が高まって通常の状態を超える精神的・身体的な高揚感やトランス状態を指している。ニーチェは、このような「陶酔」が、人間の創造性を引き出し、日常的な制約や固定観念を乗り越えて、芸術的表現を可能にすると考えたのだ。

この考え方は、現代のアートやクリエイティブなプロセスにおいても多くの共感を得ている。たとえば、アーティストや作家が「ゾーン」に入ると呼ばれる集中状態で作品を生み出す際、その高揚感や自己超越の感覚がしばしば作品に反映される。また、音楽やダンス、演劇のような身体的な表現にも、この陶酔状態が不可欠であり、鑑賞者を感動させる要素ともなる。こうした陶酔が、芸術の生命力や独創性の源となる。

ニーチェのこの言葉は、芸術や創造が生まれるためには「日常の枠」を超えた精神状態が必要であることを示している。創造的な活動には、理性や論理を超えた情熱や感情の高まりが不可欠であり、その瞬間に芸術的なエネルギーが生まれるのだ。ニーチェは、感覚が鋭くなり、自我が広がることでのみ、人間は真の芸術作品を生み出すことができると考えた。このように、創造の源泉としての「陶酔」の価値を、芸術における重要な要素として捉えている。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最新 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る