「徳に優れた者は誰よりも反逆する権利を有しているが、彼らこそが最も反逆に傾かない」
- 紀元前384年~紀元前322年
- 古代ギリシャのマケドニア出身
- 哲学者・科学者で学園「リュケイオン」の設立者
- プラトンの弟子で、論理学、生物学、政治学、倫理学などにおいて体系的な知識を構築し、西洋の思想や科学の発展に大きな影響を与えた
英文
”Those who excel in virtue have the best right of all to rebel, but then they are of all men the least inclined to do so.”
日本語訳
「徳に優れた者は誰よりも反逆する権利を有しているが、彼らこそが最も反逆に傾かない」
解説
この言葉は、徳(美徳)と反逆の関係についてアリストテレスが述べたものである。彼は、徳に優れた人物は人間的な価値や正義に基づいて物事を判断できるため、社会の不正や不正義に対して最も正当な理由を持って反逆する権利を有していると考えた。しかし、同時に徳に優れた人物は、内なる品性や倫理的な高潔さを持つため、そうした不正に対しても安易に反逆に走ることがないと述べている。この矛盾が、徳ある人物の特徴であり、彼らの行動には深い内面的な抑制が働いている。
アリストテレスが「徳に優れた者」と述べるのは、理性や節度を持って他者に配慮し、社会や個人の利益を考慮できる人物を指している。徳に優れた人は、社会や組織における矛盾や不正を冷静に見極めることができるため、不正が明白な場合には反逆する正当な理由がある。しかし、彼らは正義と秩序を重んじるため、短絡的な行動や暴力に訴えず、慎重に行動し、他の方法で社会に貢献する道を選ぶことが多い。
具体例として、歴史上のリーダーや哲学者たちの行動が挙げられる。例えば、ソクラテスはアテネ市の不正や矛盾を批判したが、自ら暴力的な反乱を起こすことはなく、むしろ法律や秩序を守り、最後には自分の信念を貫いて死を選んだ。また、マハトマ・ガンディーのように、非暴力的な方法で社会変革を目指す人物も、徳を重視しながら反逆の権利を行使した例である。彼らは、強い信念と高い倫理観を持ちながらも、穏やかで平和的な方法で社会変革を推進することを選んだ。
現代においても、徳ある人々は、会社や組織内で不正を目撃した際に、衝動的な行動を避け、冷静で理性的な方法で問題を解決しようとする傾向がある。彼らは、自分の価値観に基づいて適切な行動を取ることで、組織や社会にとって長期的に有益な変革を促す。また、政治活動においても、倫理的なリーダーは激しい対立ではなく、対話と協力を通じて変革を目指すことが多い。
アリストテレスのこの言葉は、徳を持つ人物の内面の強さと節度の大切さを教えている。徳に優れた人々は、ただ反逆する権利を持つだけでなく、それを行使するかどうかを慎重に考え、社会や周囲に対する影響をよく見極めることで、真の意味での良き変革をもたらす存在となる。この言葉は、正義と自己抑制の両立が持つ価値を示し、私たちにとって理想的なリーダーシップの姿を考えさせるものである。
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