「およそ人間の能力には限度があるのであって、多方面を一人が兼ねて担当するということは、能力を分散し、結局そのいずれをも粗雑化してしまい、精緻にして完璧な、高度の専門的な運営効果は期しえないと思う」

松下幸之助(画像はイメージです)
松下幸之助(画像はイメージです)
  • 1894年11月27日~1989年4月27日(94歳没)
  • 日本出身
  • 実業家、発明家、パナソニック(松下電器産業)創業者、「経営の神様」

原文

「およそ人間の能力には限度があるのであって、多方面を一人が兼ねて担当するということは、能力を分散し、結局そのいずれをも粗雑化してしまい、精緻にして完璧な、高度の専門的な運営効果は期しえないと思う」

出典

松下幸之助発言集 第22巻

解説

この言葉は、分業と専門性の重要性を説いたものである。人間の能力には当然ながら限界があり、一人の人間があまりにも多くの分野を一手に引き受けようとすれば、集中力やエネルギーが分散され、結果としてどの業務も中途半端になる可能性が高い。高度な成果を出すためには、一つの分野に集中し、専門的な知見を深めることが必要であるという警鐘でもある。

この考え方は、企業経営や組織運営の現場において非常に重要である。松下幸之助の時代、日本は高度経済成長期にあり、多くの企業が多角化経営に踏み出していた。しかし、何でも手を出すのではなく、それぞれの分野に精通した人材を配置し、役割を分けることこそが、組織全体としての運営効率を高め、競争力を維持する道であるとする意識が必要とされた。

現代においても、この名言は有効である。リーダーや経営者があらゆる決定を自ら行おうとするのではなく、専門家に任せるべきは任せ、信頼して分業体制を築くことが、結果として企業やプロジェクトの完成度を高める。また個人においても、自らの得意分野に集中することで、より深い成果を得るという姿勢が求められる。

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