「たとえ少数株しかもっていない株主であっても、単に株をもって配当を受け取るというだけでなく、会社の主人公たる株主としての権威、見識をもって会社の番頭である経営者を叱咤激励する、ということも大に望ましいと思うのである」

松下幸之助(画像はイメージです)
松下幸之助(画像はイメージです)
  • 1894年11月27日~1989年4月27日(94歳没)
  • 日本出身
  • 実業家、発明家、パナソニック(松下電器産業)創業者、「経営の神様」

原文

「たとえ少数株しかもっていない株主であっても、単に株をもって配当を受け取るというだけでなく、会社の主人公たる株主としての権威、見識をもって会社の番頭である経営者を叱咤激励する、ということも大に望ましいと思うのである」

出典

『PHP』 昭和42年11月号

解説

この言葉は、企業経営における株主の役割と責任について述べたものである。松下幸之助は、株主を単なる資本提供者とは見なさず、会社の「主人公」としての存在意義を強調している。たとえ少数株主であっても、経営への関心と責任ある態度をもって関与することが、会社の健全な発展につながると考えていたのである。

この見解は、戦後の企業統治が整備されつつあった時代背景を踏まえて理解すべきである。高度経済成長を前に、企業が社会的責任を果たすこと、そして経営者が独善に陥らないよう、株主が適切に監視し、時に励まし、時に叱るという姿勢が重視されるようになっていた。経営者を「番頭」と呼び、あくまで「家主」である株主が主権を持つという発想は、経営と所有の分離を明確に意識した表現である。

現代においても、この言葉はガバナンス(企業統治)の観点から重要な示唆を与える。多くの企業で分散化が進む中、個々の株主が自らの権利と責任を自覚し、企業の持続的成長と健全性を見守る意識を持つことは、社会全体にとっても意義深い。単に配当や株価を期待するのではなく、企業と共に歩む主体として、建設的な関与が望まれる時代となっている。

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