「単に資本のもつ力のみに頼って事を行い、損をしてまで競争に打ち勝とうとするのは明らかに暴力的行為である。それは競争のための競争であり、何ものも社会にプラスすることのない有害な競争である」

- 1894年11月27日~1989年4月27日(94歳没)
- 日本出身
- 実業家、発明家、パナソニック(松下電器産業)創業者、「経営の神様」
原文
「単に資本のもつ力のみに頼って事を行い、損をしてまで競争に打ち勝とうとするのは明らかに暴力的行為である。それは競争のための競争であり、何ものも社会にプラスすることのない有害な競争である」
出典
なぜ
解説
この言葉は、資本力にものを言わせた過剰な競争の危険性を強く戒めている。資金力を背景に、合理性を無視して市場を席巻しようとする行為は、本質的に暴力的であり、社会にとって有害であるという厳しい批判が込められている。競争とは本来、より良い商品やサービスを提供するためのものであって、勝利そのものを目的とした競争は社会的価値を生まない。
松下幸之助は、戦後の混乱期から高度成長期にかけて、資本主義の行き過ぎや弱者切り捨ての風潮に対して警戒心を抱いていた。特に大量資本を武器にした過当競争や値下げ合戦が、健全な経済の発展を妨げると考えていた。彼にとっての経営とは、社会との共生を前提に、人々の生活を豊かにすることにこそ存在意義があるものであり、それに背くような「競争のための競争」は経営の堕落と見なされた。
現代においても、シェア拡大のための赤字戦略や、買収による寡占化が問題視されることがある。たとえば、新興企業のアイデアを大資本で模倣し、価格競争で潰すような事例は、短期的には勝利をもたらしても、長期的には市場の活力を失わせ、消費者にも不利益を与える。競争の健全性を保つには、資本の力だけに頼らず、理念と価値をもった経営が求められている。
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