「狂人の定義とは、自分の周りを狂人に囲まれた人間のことだろう」

エズラ・パウンド(画像はイメージです)
  • 1885年10月30日~1972年11月1日(87歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 詩人、批評家、翻訳家

英文

“I guess the definition of a lunatic is a man surrounded by them.”

日本語訳

「狂人の定義とは、自分の周りを狂人に囲まれた人間のことだろう」

出典

出典不詳(編集中)

解説

この言葉は、狂気の概念を相対的に捉えた皮肉な洞察である。つまり、誰が狂っているかは絶対的に決まるものではなく、周囲の人々の状態や環境によって判断が逆転するという考え方である。孤立した人物が「狂人」と見なされるのは、その人物自身ではなく、むしろ周囲に問題がある場合もあるという逆説が示されている。

エズラ・パウンド自身、戦争中の政治的発言や行動によって「狂気」の烙印を押され、戦後は精神病院に収容された。彼にとって「狂人」というレッテルは、必ずしも本人の内面を反映したものではなく、社会的・政治的文脈によって作られるものであった。この発言は、彼自身の経験を背景にした自己皮肉であり、同時に社会の価値判断への批判でもある。

現代においても、この言葉は有効である。例えば、革新的な思想や異端的な意見を持つ人が、保守的な社会の中で「狂人」と呼ばれることは少なくない。逆に、その社会自体が非合理であれば、孤立した個人こそが理性的である可能性がある。パウンドの言葉は、狂気と常識の境界は環境によって変動するという洞察を鋭く突きつけているのである。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「エズラ・パウンド」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る