「ただ一つしてはならないことは、芸術に何か問題があるとき、それが芸術だけの問題だと考えることである」

エズラ・パウンド(画像はイメージです)
  • 1885年10月30日~1972年11月1日(87歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 詩人、批評家、翻訳家

英文

“But the one thing you should. not do is to suppose that when something is wrong with the arts, it is wrong with the arts ONLY.”

日本語訳

「ただ一つしてはならないことは、芸術に何か問題があるとき、それが芸術だけの問題だと考えることである」

解説

この言葉は、芸術の衰退や混乱は単独で生じるのではなく、社会全体の病理や不均衡の表れであるという認識を示している。芸術は孤立した分野ではなく、政治・経済・文化・道徳などと密接に結びついているため、芸術の乱れは社会の他の領域の乱れを反映しているという思想である。

エズラ・パウンドは20世紀前半という激動の時代を生き、文学や芸術を通して社会全体の問題を読み解こうとした。彼にとって芸術は単なる装飾ではなく、文明の健全性を測る指標であった。そのため、芸術が堕落していれば、それは必然的に社会や人間精神の堕落と連動していると考えられたのである。

現代に応用すれば、この言葉は芸術を社会の鏡として捉える視点を与える。たとえば、商業主義やデジタル文化の影響で芸術が浅薄化する現象は、単に芸術分野の問題ではなく、社会全体が効率や消費に偏重していることの表れであると考えられる。パウンドの警句は、芸術を社会全体の健康状態を映し出すバロメーターとして見るべきだと教えているのである。

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