「文字の芸術は西暦2000年以前に終わりを迎えるだろう。私は珍品として生き残ることになるだろう」

エズラ・パウンド(画像はイメージです)
  • 1885年10月30日~1972年11月1日(87歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 詩人、批評家、翻訳家

英文

“The art of letters will come to an end before A.D. 2000. I shall survive as a curiosity.”

日本語訳

「文字の芸術は西暦2000年以前に終わりを迎えるだろう。私は珍品として生き残ることになるだろう」

解説

この言葉は、エズラ・パウンドが文学や書簡(letters)の芸術が近代社会の進展によって衰退するという予測を示したものである。彼は、印刷文化や書簡文化が持っていた知的・芸術的価値が、大量消費社会やメディアの発展によって失われると感じていた。ここで言う「文字の芸術」とは、詩や文学だけでなく、書簡そのものを通した洗練された表現文化を指している。

背景として、20世紀前半から半ばにかけて、ラジオや映画、テレビなどの新しいメディアの台頭が文学の在り方を揺さぶっていたことがある。パウンドはモダニズムの詩人として革新を試みた一方で、大衆文化によって文学が形骸化することへの危機感を抱いていた。この「私は珍品として生き残る」という一節には、彼自身が時代遅れになるという皮肉と自己認識が表れている。

現代においてこの言葉を考えると、インターネットやSNSの普及によって、文学や長文の書簡文化がますます縮小していることが思い起こされる。短いメッセージや断片的な情報が主流となる中、古典的な文章表現や長文の価値は確かに希薄になっている。しかし同時に、こうした古い形式を尊ぶ人々や復興の動きも存在し、パウンドが予測したような「珍品」としての位置づけが、むしろ文化的な付加価値となりつつあるとも言えるのである。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「エズラ・パウンド」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る