「フリードリヒ大王を尊敬し、大王の機動演習の見学を許されたこともあったフランスのある有名な軍事学者は、一七八九年、次の如く言っております。『大戦争は今後起らないだろうし、もはや会戦を見ることはないだろう』」

- 1889年1月18日~1949年6月15日(60歳没)
- 日本出身
- 陸軍軍人、戦略家、思想家、著述家
原文
「フリードリヒ大王を尊敬し、大王の機動演習の見学を許されたこともあったフランスのある有名な軍事学者は、一七八九年、次の如く言っております。『大戦争は今後起らないだろうし、もはや会戦を見ることはないだろう』」
解説
この言葉は、石原莞爾が歴史における誤った予測の例として引用したものである。18世紀末の軍事学者は、戦争のあり方を静観し、大規模な会戦はもう起こらないと断言した。しかしその直後にフランス革命が勃発し、ナポレオン戦争という空前の大戦争が展開された。ここで石原が強調しているのは、戦争に関する予測の困難さと、歴史の大きな転換点が予想外の形で訪れるという事実である。
背景として、18世紀のヨーロッパはバランス・オブ・パワーの体制にあり、一見すると安定しているように見えた。軍事学者の予測も、その安定を前提としたものであった。しかし革命とナポレオンの登場によって、その前提は一挙に崩れ去った。石原はこの歴史的事例を引くことで、学説や理論が現実の歴史の力動の前では容易に覆されることを示したのである。
現代においても、この指摘は極めて示唆的である。冷戦終結後に「大規模戦争はもう起こらない」と考えられたが、21世紀に入って再び大国間対立や地域紛争が激化している。石原の引用は、「戦争の終焉」を軽々しく語ることの危うさを警告し、歴史を直視する姿勢の重要性を我々に思い起こさせるものである。
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