「武力の価値がそれ以外の手段に対して絶対的でなくなるに従って戦争は細く長く、女性的に、即ち陰性の戦争になるのであります」

石原莞爾(画像はイメージです)
  • 1889年1月18日~1949年6月15日(60歳没)
  • 日本出身
  • 陸軍軍人、戦略家、思想家、著述家

原文

「武力の価値がそれ以外の手段に対して絶対的でなくなるに従って戦争は細く長く、女性的に、即ち陰性の戦争になるのであります」

解説

この言葉は、石原莞爾が戦争の性格を「陽性」と「陰性」に二分して説明したものである。彼は、武力が絶対的優位を持つとき戦争は短期決戦となり「陽性」であるのに対し、武力の価値が低下し経済力や外交力と拮抗するようになると、戦争は「細く長く」続き、「女性的=陰性の戦争」となると定義した。つまり、戦争の持続性や形態は武力と他の手段の相対的価値によって決まると捉えていたのである。

背景として、石原は資源や工業力に乏しい日本が長期戦に耐えられないことを理解していた。そのため、陰性の持久戦は不利であり、避けなければならないと警告していた。彼にとって陰性戦争とは、外交・経済・宣伝といった手段が重要性を増し、軍事的決着が先延ばしになる状態を意味していた。これは第一次世界大戦の総力戦の様相を踏まえた分析でもあった。

現代においても、この視点は有効である。今日の紛争は、サイバー攻撃、経済制裁、情報戦など非軍事的手段が大きな比重を占め、戦争が陰性化しているともいえる。短期の決戦型戦争は例外であり、多くは長期的な消耗戦の様相を帯びる。石原の言葉は、戦争の性格が時代とともに変化することを理解する上で示唆的であり、現代の「ハイブリッド戦争」を捉える枠組みとしても応用できる。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「石原莞爾」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る